ペスタロッチの伝記概要

1746年から1827年にわたるペスタロッチの長い生涯は、ヨーロッパ史の大変革期、つまり、18世紀の封建的構造から人間の解放と国家や社会の 民主的構造への転換期に当たっている。フランス革命の要求に理解を示しつつも、その行き過ぎに失望した彼は、自分の著作の中にこの時代の政治的、社会的な 大改革を反映させている。

このページには、個人的な経験と著作活動がしばしば分離しがたく結びついている彼の伝記がまずは略伝のかたち が、次いで生涯の6つの時代区分毎の詳細な記述のかたちで提示される。その際、1769年から1798年にわたるペスタロッチのノイホーフ時代がとくに詳 しく叙述される。

ペスタロッチは次々に変転する実践的活動に携わるかたわら、全生涯を通じて、哲学、政治、教育小説、教育学的著作、みずからが宣伝した教授法のための教科 書、自伝、等々を出版する。約300の著作と、現存する6,000通を超える手紙からなる著作物は、彼の波乱に富む人生と緊密に相互作用しつつ成ったもの であり、生活と著作とのこうした結合を踏まえてのみ理解される。伝記に関わるこの章は、こうした事情を明らかにし、同時に、ペスタロッチの作品の伝記的根 源を可視化させるものでなければならない。